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量子物理学:量子プロセッサーにおける通過可能なワームホールのダイナミクス

Nature 612, 7938 doi: 10.1038/s41586-022-05424-3

ホログラフィック原理は、量子重力の性質であると理論化されており、空間の体積の記述を、より低次元の境界に符号化できると仮定している。反ド・ジッター(AdS)/共形場理論対応、すなわち双対性は、ホログラフィーの主要な例である。N ≫ 1個のマヨラナフェルミオンのSachdev–Ye–Kitaev(SYK)模型は、AdS2における重力双対の存在を示唆する特徴を有しており、ホログラフィーの新しい具現化である。我々は、SYK多体系と重力のホログラフィック対応を利用し、SYK模型において実現された通過可能なワームホールの機構を通して、エンタングルメントと時空幾何学の間に推測されるER=EPR関係を調べている。キュービットを使って、SYK通過可能ワームホールのダイナミクスを、対応するテレポーテーションプロトコルを通して調べることができる。これは、無限個のキュービットの半古典極限における重力描像と等価な量子回路として実現可能である。今回我々は、学習技術を用いて、疎化されたSYK模型を構築し、これを9キュービット回路上の164個の2キュービットゲートを用いて実験的に実現して、対応する通過可能なワームホールのダイナミクスを観測した。疎化されたSYK模型は、その近似的な性質にもかかわらず、完全なサイズ巻き付き(size winding)、負エネルギー衝撃波と一致するワームホールの両側での結合、シャピロ時間遅延、ワームホールから現れる信号の因果的時間順序、スクランブリングと熱化のダイナミクスという、通過可能なワームホールの物理の一連の主要特性を保持していた。我々の実験は、グーグルのシカモア(Sycamore)プロセッサー上で実行された。二次元重力双対系を調べることによって、今回の成果は、実験室で量子重力を研究するプログラムへの一歩となる。今後は、ハードウエアの拡張性と性能の向上のみならず、より高次元の量子重力双対などのSYK様模型を含む理論的進展が必要であると思われる。

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