Article

免疫学:B細胞抗原受容体組み立ての構造原理

Nature 612, 7938 doi: 10.1038/s41586-022-05412-7

B細胞抗原受容体(BCR)は、抗原認識のための1個の膜結合型免疫グロブリン(クラスM、D、G、E、Aのいずれか)と、Igα(別名CD79A)とIgβ(別名CD79B)がジスルフィド結合した1個のヘテロ二量体(Igα/β)から構成されている。Igα/βは、細胞内のITAM(immunoreceptor tyrosine-based activation motif)を介して実際にシグナル伝達体として機能している。BCRを組み立てる際の原理はまだ分かっていない。今回我々は、マウスの完全長IgM BCRとそのFab欠失型のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。エクトドメイン(ECD)では、Igα/βヘテロ二量体が主にIgαを使って一方の重鎖(μHC)のCμ3およびCμ4ドメインと結合するが、もう1つの重鎖(μHC′)とは結合していない。μHCおよびμHC′の膜貫通ドメイン(TMD)ヘリックスは、Igα/βヘテロ二量体のTMDヘリックスと相互作用して、4本のヘリックスが緊密にまとめられたバンドルを形成している。TMDの非対称性により、2つのIgα/βヘテロ二量体の動員が防止される。注目すべきことに、μHCのECDとTMDとの間をつなぐペプチドは、IgαとIgβの同じようなペプチドの間に介在して、電荷相補性を介してTMDの組み立てを誘導する。Igβ ITAMは、密度は低いもののTMDの隣にはっきりと存在していて、ITAMリン酸化を自己抑制している可能性が示唆される。界面分析から、全てのクラスのBCRがおおむね同じ秩序に基づく構造を用いていることが示唆された。我々の研究は、B細胞シグナル伝達を理解し、BCRが関わる疾患に対する合理的な治療法を設計するための構造的プラットフォームを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度