光物理学:フォトニック集積連続進行波パラメトリック増幅器
Nature 612, 7938 doi: 10.1038/s41586-022-05329-1
光信号を増幅する能力は科学技術全般において極めて重要であり、これには一般に希土類ドープ光ファイバーやIII–V族半導体系利得媒体が用いられる。光信号を増幅する別の物理過程に、パラメトリック相互作用を通じた光ファイバーのカー非線形性の使用がある。先駆的な研究によって、光ファイバーにおける連続波での正味利得進行波パラメトリック増幅が実証されており、例えば、位相感応(つまり無雑音)増幅、リンクのスパン増加、信号再生、非線形位相雑音軽減などが可能になっている。しかし、大きな進展があるにもかかわらず、フォトニック集積回路に基づく正味のパラメトリック利得の実証は全てパルスレーザーを必要としており、その実用には限界があった。これまで、バルク微細加工によって作製された周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路チップでのみ連続波利得が実現されているが、シリコンウエハーを用いたフォトニック回路との集積化は実証されていない。今回我々は、フォトニック集積回路を用いた、連続波領域で正味の信号利得がある進行波光パラメトリック増幅器を実証する。5 × 5 mm2の寸法のシリコンチップ上の分散設計されたメートル長の超低損失Si3N4フォトニック集積回路を用いて、通信用Cバンドにおいてオンチップ光伝播損失とファイバー–チップ–ファイバー結合損失の両方を超える、12 dBの連続パラメトリック利得が実現された。今回の成果は、リソグラフィーによって利得スペクトルが制御され、チップ面積が小さく、光学フィードバックに対する復元力と量子限界性能を持つ、可視から中赤外の波長領域と従来の希土類の増幅帯域の外側で動作可能な、フォトニック集積回路を用いたパラメトリック増幅器の可能性を実証している。

