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神経科学:網膜を動かす筋肉がショウジョウバエの複眼視を増強する

Nature 612, 7938 doi: 10.1038/s41586-022-05317-5

ほとんどの動物は、数十個から数千個のレンズが外骨格と固く結合した複眼を持つ。こうした動物種はどれもが、視覚入力を能動的に変えるために、頭部または体自体を動かさなくてはならないと考えるのが自然だ。しかし、古典的な解剖所見によって、ハエの場合、各複眼の固定されたレンズの下で網膜を動かすための筋肉が存在することが明らかになっている。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)が、網膜筋を使って視覚上の動きを滑らかに追跡しており、これによって網膜像が安定するとともに、動かない光景を見ているときに小さな断続性運動(サッケード)を行っていることを示す。網膜が動くと、それに応じて視覚受容野が移動すること、そしてごく小さな網膜のサッケードでも視覚ニューロンが活動することも示された。頭部を固定した行動条件下では、ショウジョウバエが、溝を越える際に網膜の両眼輻輳運動(奥行きの知覚を強め得る)を行うこと、そして、網膜の運動ニューロンの生理機能を障害すると、自由行動条件で溝越えの歩路が変化することが分かった。ハエが網膜を動かす能力を進化させたことから、動物にとって眼を頭部とは独立に動かすことが広く重要であることが示唆される。ショウジョウバエ網膜と脊椎動物の眼に見られる滑らかなサッケード運動の類似性は、収斂進化の顕著な例を浮き彫りにしている。

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