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微生物学:ウイルスはTIR gcADPRシグナル伝達を阻害して細菌の防御を打破する

Nature 611, 7935 doi: 10.1038/s41586-022-05375-9

Toll/インターロイキン1受容体(TIR)ドメインは、細菌、植物、動物において病原体の侵入を認識する免疫受容体の重要な構成要素である。細菌の抗ファージ系であるThoerisでは、感染を認識すると植物の場合と同様にTIRドメインが活性化して、免疫シグナル伝達分子が産生されるが、その分子構造はよく分かっていない。この分子はThoeris免疫エフェクターと結合してこれを活性化し、免疫機能を発揮する。今回我々は、ファージによってコードされ、Thoeris免疫を阻害する、大きなタンパク質ファミリーを特定し、Tad1(Thoeris anti-defence 1)と命名した。Tad1タンパク質は、TIRドメインタンパク質によって産生される免疫シグナル伝達分子に結合してこれを隔離する「スポンジ」のように働くことで、ファージの感知と免疫エフェクターの活性化を切り離し、Thoerisを不活化することが分かった。Tad1はまた、植物のTIRドメインタンパク質由来の分子も効率よく隔離でき、植物由来の分子に結合したTad1の高分解能の結晶構造から、1′′–2′ gcADPR(1′′–2′ glycocyclic ADPR)というユニークな化学構造が見いだされた。さらに我々のデータから、Thoeris TIRタンパク質は近縁分子の1′′–3′ gcADPRを産生し、これが植物由来の1′′–2′ gcADPRよりもThsAを1桁効率よく活性化することが示唆された。今回の結果は、中心的な免疫シグナル伝達分子の化学構造を明らかにしており、病原体が宿主免疫を抑制できる新たな作用機序を示したものである。

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