腫瘍免疫学:LRRC15+筋繊維芽細胞は間質の設定点を決定して腫瘍免疫を抑制する
Nature 611, 7934 doi: 10.1038/s41586-022-05272-1
マウスとヒトのがんにおける最近の単一細胞研究から、非常に限局的なLRRC15(leucine-rich-repeat-containing protein 15)によって特異的に標識される筋繊維芽細胞集団が出現することが明らかになった。しかし、LRRC15+がん関連繊維芽細胞(CAF)の発生の原因となる分子シグナルと、それらのシグナルの抗腫瘍免疫に対する直接的な影響の特性は明らかにされていない。今回我々は、膵臓がんのマウスモデルで、健康で一般的なdermatopontin陽性繊維芽細胞における2型TGFβ受容体シグナル伝達が、がん関連LRRC15+筋繊維芽細胞の発生に不可欠であることを示す、in vivoの遺伝的証拠を提示する。この軸はまた、ヒトのがんで主に繊維芽細胞系譜の多様化も駆動する。新たに開発したLrrc15–ジフテリア毒素受容体ノックインマウスを用いて、LRRC15+ CAFを選択的に枯渇させたところ、この集団の枯渇は腫瘍繊維芽細胞の全量を著しく減少させることが明らかになった。さらにCAF組成は、一般的な繊維芽細胞の方向に再調整される。その結果、腫瘍浸潤CD8+ T細胞に対する直接的な抑制が緩和されてエフェクター機能が亢進し、抗PDL1免疫チェックポイント阻害に応答して腫瘍退縮が増強される。以上より、これらの知見は、TGFβ依存的LRRC15+ CAFが、腫瘍-繊維芽細胞の設定値を決定して腫瘍増殖を促していることを実証している。これらの細胞はまた、CD8+ T細胞機能を直接抑制し、チェックポイント阻害への応答性を制限する。疾患促進性のLRRC15+筋繊維芽細胞集団を減少させて恒常的な繊維芽細胞の設定値を回復させる治療法を開発することで、患者の生存と免疫療法への応答が改善される可能性がある。

