分子生物学:ヌクレオソームに結合したNuA4アセチルトランスフェラーゼ複合体の構造
Nature 610, 7932 doi: 10.1038/s41586-022-05303-x
真核生物のデオキシリボ核酸は、ヒストン八量体に巻き付いて、クロマチンの基本単位であるヌクレオソームを形成する。ヒストンH4のN末端は隣接するヌクレオソームに結合して、クロマチンの高次構造形成やヘテロクロマチンのサイレンシングに重要な役割を果たしている。酵母のNuA4と哺乳類細胞が持つそのホモログのTip60複合体は、H4アセチル化を触媒する重要な酵素であり、H4のアセチル化は、転写活性化やDNA修復の際のクロマチンのパッケージングと機能を調節する。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のNuA4について、ヌクレオソームに結合した状態のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。NuA4は2つの主要なモジュール、すなわち、触媒作用を持つヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)モジュールと転写活性化因子結合(TRA)モジュールからなる。ヌクレオソームには主としてHATモジュールが結合しており、TRAモジュールの多塩基表面近傍に位置している。これは、NuA4の最適な活性に重要である。上流活性化配列を持つヌクレオソームのリンカーDNAが、Tra1サブユニットの保存された転写活性化因子結合表面の方向に向く位置を取ることから、NuA4が転写コアクチベーターとして働く可能性が示唆される。HATモジュールはH2A–H2Bの酸性パッチとヌクレオソームDNAを介してヌクレオソームの円形の平面を認識し、Esa1の触媒ポケットをH4のN末端尾部へと突き出して、H4を選択的にアセチル化するその機能を助ける。これらの知見を総合することにより、NuA4が組み立てられる過程が明らかになり、HATがヌクレオソームを認識して転写共活性化を助ける仕組みについての知見が得られた。

