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古遺伝学:ネアンデルタール人の社会構成に関する遺伝学的知見

Nature 610, 7932 doi: 10.1038/s41586-022-05283-y

ネアンデルタール人のこれまでのゲノム解析からは、その集団史や現生人類との関係についての知見が得られているが、ネアンデルタール人地域社会の構成はほとんど明らかにされていない。本論文では、シベリア南部のアルタイ山脈にある、中期旧石器時代の2つの遺跡から出土したネアンデルタール人13個体(チャギルスカヤ洞窟の11個体とオクラドニコフ洞窟の2個体)の遺伝学的データを提示する。これは、ネアンデルタール人集団に関する遺伝学研究としては、これまでで最大規模のものの1つである。我々は、ハイブリダイゼーションキャプチャー法を用い、ゲノム規模の核DNAデータに加え、ミトコンドリアDNAおよびY染色体の塩基配列を得た。チャギルスカヤの個体には、父と娘である2個体と、2親等の親族関係にある2個体が含まれており、これは、少なくともこれらの個体の一部が同時期に生活していたことを示している。今回得られたゲノムの最大3分の1には、ホモ接合性の長いセグメントが複数見られ、これは、チャギルスカヤのネアンデルタール人が小規模な地域社会の一部を構成していたことを示唆している。さらに、Y染色体の多様性はミトコンドリアの多様性を1桁下回っており、このパターンは、女性の地域社会間での移動によって最もよく説明されることが分かった。このように、今回の遺伝学的データによって、既知の分布域の最東端で孤立して存在したネアンデルタール人地域社会の構成に関する詳細な記録がもたらされた。

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