植物科学:コムギのレジストソームから明らかになった免疫受容体チャネルの共通原理
Nature 610, 7932 doi: 10.1038/s41586-022-05231-w
植物細胞内のヌクレオチド結合ロイシンリッチリピート受容体(NLR)は、病原体のエフェクターを認識して免疫応答の引き金を引く。双子葉類のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のコイルドコイルドメイン含有NLR(CNL)であるZAR1が病原体のエフェクターを間接的に認識すると、ZAR1レジストソーム(resistosome)と呼ばれる大型のヘテロオリゴマータンパク質複合体の形成が誘導され、この複合体はZAR1を介した免疫に必要なカルシウムチャネルとして機能する。しかし、このようなレジストソームとチャネル活性が植物のCNL間で保存されているかどうかは不明である。今回我々は、コムギのCNLであるSr35が、コムギ黒さび病の病原菌のエフェクターAvrSr35と複合体を形成した状態のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。Sr35のロイシンリッチリピートにエフェクターが直接結合すると、Sr35–AvrSr35の五量体複合体が形成され、我々はこの複合体をSr35レジストソームと名付けた。コムギのSr35レジストソームとシロイヌナズナのZAR1レジストソームは、ロイシンリッチリピートドメイン中にこれまで保存されていると認識されていなかったアルギニンクラスターを持っており、これがコイルドコイルドメインの「EDVID」モチーフと共存して分子内結合を形成するなど、構造が非常に類似している。電気生理学的測定により、Sr35レジストソームは非選択的な陽イオンチャネル活性を持つことが明らかになった。これらの構造的な手掛かりにより、コムギとオオムギの非常に近縁なオーファンNLRで、AvrSr35を認識する新しいバリアントを作製することができた。これらのデータは、植物ではCNLレジストソームが進化的に保存されていることを裏付けており、構造に基づいたNLRの改変による作物改良の原理を証明するものである。

