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化学:「エン」レダクターゼを用いる不斉sp3–sp3交差求電子剤カップリング
Nature 610, 7931 doi: 10.1038/s41586-022-05167-1
Csp3–Csp3結合の触媒的不斉構築は、依然として有機合成における最大の課題の1つである。金属触媒を用いる交差求電子剤カップリング(XEC)は、C–C結合形成の強力な手段として浮上した。しかし、2つの異なるCsp3求電子剤を高い交差選択性と立体選択性でカップリングすることは、未達成の課題であり続けている。今回我々は、フラビン依存性の「エン」レダクターゼ(ERED)によって触媒される、ハロゲン化アルキルとニトロアルカンの高化学選択的かつ高エナンチオ選択的なCsp3–Csp3 XECを報告する。酵素を鋳型とするハロゲン化アルキルとフラビン補因子の電荷移動錯体を光励起することによって、熱力学的に有利なニトロアルカンパートナーよりもハロゲン化アルキルの化学選択的還元が可能になった。カギとなるC–C結合形成段階は、アルキルラジカルとin situで生成したニトロナートが反応してニトロラジカルアニオンが形成されることによって起こり、このニトロラジカルアニオンは、分解して亜硝酸塩とアルキルラジカルを形成する。酵素によって調節される水素原子移動(HAT)により、高度なエナンチオ選択性が可能になる。この反応性は、小分子触媒反応では知られておらず、新しい機構を用いて長年の合成課題に取り組む際の酵素の可能性を浮き彫りにしている。

