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惑星科学:火星探査ローバー「祝融」のレーダーが明らかにしたユートピア平原の地下層構造
Nature 610, 7931 doi: 10.1038/s41586-022-05147-5
火星の地下構造と成層構造の探求は、火星の地質学的性質、水文学的進化、古気候変化の理解を深めるものであり、過去と今後の火星探査ミッションの主要な任務となっている。ユートピア平原は、ユートピア衝突クレーターを埋める火山性の地層と堆積層の滑らかな平原で、火星の古代海洋が存在していたと推測されている場所であることから、そうした探査の主要な目標となってきた。しかし、バイキング2号によって地表での検出結果が得られてから45年が経過している。本論文では、火星探査ミッション「天問1号」のローバー「祝融」がユートピア平原の南縁地域で行った、地中貫通レーダーによる火星の地下構造のin situ探査の結果について報告する。祝融が横断した約1171 mに沿って地下構造の詳細な断面画像が作成され、厚さが10 m未満のレゴリス層の下に、約70 mの厚さの多層構造が存在することが明らかになった。他のモデルを精査するのは当然であるが、今回の新しいレーダー画像は、後期へスペリア紀からアマゾニア紀にかけてユートピア平原を埋めたと解釈される、間欠的な洪水による堆積作用が起こったことを示唆している。レーダー検出深さの範囲では液体の水の存在を示す直接的な証拠は見つかっていないが、着陸地域の地下における塩水の氷の存在は除外できない。

