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免疫学:PD-1とIL-2の併用療法はCD8+ T細胞の疲弊プログラムを変化させる

Nature 610, 7930 doi: 10.1038/s41586-022-05257-0

PD-1阻害とIL-2の併用療法は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスの慢性感染時に非常に有効である。本研究で我々は、この相乗効果の根底にある基盤について調べた。我々は、PD-1とIL-2の併用療法は、PD-1単独療法とは異なり、PD-1+TCF1+幹細胞様CD8+ T細胞の分化プログラムを大きく変化させて、転写的、エピジェネティック的に異なるエフェクターCD8+ T細胞の生成を引き起こし、こうしたT細胞は、急性ウイルス感染後に見られる高度に機能的なエフェクターCD8+ T細胞に類似していることを示す。ウイルス制御を仲介するこれらの質的に優れたCD8+T細胞の生成が、PD-1とIL-2の相乗効果の根底にあることが分かった。我々の結果は、PD-1+TCF1+幹細胞様CD8+ T細胞(疲弊CD8+ T細胞の前駆細胞とも呼ばれる)は、細胞運命が疲弊プログラムに固定されることなく、その分化軌跡はIL-2シグナルによって変更し得ることを示している。併用療法後に幹細胞様CD8+ T細胞から生じる、これらのウイルス特異的なエフェクターCD8+ T細胞は、高親和性のIL-2三量体(CD25–CD122–CD132)受容体を高レベルで発現していた。これはPD-1阻害単独療法後には見られなかった。さらに我々は、CD25とIL-2の結合が、IL-2サイトカインとPD-1阻害の間に観察された相乗効果で重要な役割を担っていることを示す。CD25を抗体で阻害したり、CD25には結合しないがCD122とCD132への結合能は保持した変異型IL-2を用いたりすると、PD-1とIL-2の併用療法後に見られる相乗効果がほぼ完全に打ち消された。がん患者を対象とするPD-1とIL-2の併用療法には大きな関心が集まっており、IL-2がPD-1阻害と相乗的に働く仕組みの根底にある機構を明らかにした我々の基礎研究は、ヒトでのこうしたトランスレーショナル研究に役立つだろう。

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