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発生生物学:原腸形成を完了して神経管形成および器官形成へと進む胚モデル
Nature 610, 7930 doi: 10.1038/s41586-022-05246-3
胚性幹(ES)細胞はin vitroにおいて哺乳類の胚形成の多くの面を経ることができるが、その発生能は、栄養芽層幹(TS)細胞、胚体外内胚葉幹(XEN)細胞、誘導XEN(iXEN)細胞などの、胚体外幹細胞との相互作用によって大きく拡大する。今回我々は、in vitroにおいてマウスのES細胞、TS細胞、iXEN細胞を集合させて幹細胞由来の胚を作製し、この胚が、in uteroの自然なマウス全胚の受精後8.5日齢までの発生を再現することを示す。我々の胚モデルには、明白な前脳領域と中脳領域を持つ頭摺があり、拍動する心臓様の構造、神経管と体節を含む体幹、神経中胚葉前駆細胞を含む尾芽、腸管、原始生殖細胞が発生していた。この完全な胚モデルは、血島の発生を開始させる胚体外の卵黄嚢内で発生する。特に、野生型TS細胞およびiXEN細胞と集合させたPax6ノックアウトES細胞から作製された神経管形成中の胚モデルは、自然に発生させた普遍的Pax6ノックアウト胚で起こる、神経管の腹側領域の拡大を再現することが実証されたことは重要である。従って、これらの完全な胚様体は、発生における多様な細胞系譜や遺伝子の役割を解明するための強力なin vitroモデルである。我々の結果は、ES細胞と2種類の胚体外幹細胞が自己組織化能力を持ち、原腸形成を経てその後の神経管形成と初期の器官形成に至る哺乳類の発生を再構築することを実証している。

