Article
がん:黒色腫の細胞階層性は増殖と転移を分離する
Nature 610, 7930 doi: 10.1038/s41586-022-05242-7
黒色腫はその不均一性と可塑性が高いことで悪名が高いが、細胞状態の多様性の起源と程度についてはよく分かっていない。さらに、増殖と転移性播種を支えている黒色腫細胞亜集団は重複しているのか、それとも別々なのかも不明である。本研究で我々は、マウスの遺伝学、単一細胞トランスクリプトミクスと空間トランスクリプトミクス、細胞系譜追跡、定量的モデル化を組み合わせて、腫瘍増殖の階層性モデルの証拠を示す。このモデルは、胚性神経堤の細胞運命指定と分化の基盤にある細胞レベルと分子レベルの論理を反映している。腫瘍発生能は、空間的に局在化した血管周囲ニッチと関連していて、このニッチは細胞間コミュニケーション経路を介して獲得される表現型であり、内皮細胞によって確立されることが分かった。一部の細胞のみが増殖を促進するよう運命付けられるとするモデルと一致して、間葉様状態にある黒色腫細胞集団の経時的な単一細胞追跡からは、これらの細胞は原発腫瘍の増殖に関与せず、転移開始細胞のプールを構成しており、二次器官に播種する間に細胞アイデンティティーを切り替えることが明らかになった。我々のデータは、黒色腫細胞の状態の多様性と軌跡に関して空間的・時間的に分解したマップを提供し、増殖と転移を支える能力はそれぞれ別の細胞プールに限定されていることを示唆している。これらの表現型の能力は特定のニッチシグナルに曝露された後に動的に獲得され得るという観察結果は、このような微小環境合図のがん細胞再プログラム化活性を阻害する治療戦略を開発するための根拠となる。

