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がん:受容体分解のためのE3ユビキチンリガーゼを標的に向ける抗体

Nature 610, 7930 doi: 10.1038/s41586-022-05235-6

細胞膜にある受容体を標的とする現在の治療法のほとんどは、リガンドの結合や酵素活性と拮抗することによって作用する。しかし、哺乳類の典型的なタンパク質は、別々の活性を持つが協調して作用する複数のドメインで構成されている。つまり、1つのドメインを阻害しても、多くの場合、タンパク質の機能は完全には抑制されない。実際、タンパク質分解誘導キメラタンパク質(PROTAC)をはじめとする標的タンパク質分解技術により、標的を阻害するよりも分解する方が臨床的に重要な利点があることが明らかにされている。しかし、2つの標的に高い親和性で結合できるヘテロ二機能性化合物の生成は、特に経口での生物学的利用の可能性が必要とされる場合は難しい。今回我々は、細胞表面のE3ユビキチンリガーゼを膜貫通タンパク質に結合させた、タンパク質分解誘導抗体(PROTAB)を開発したことを報告する。この抗体によって、in vitroとin vivoのどちらでも標的の分解が引き起こされた。我々は、Wnt応答性リガーゼであるZNRF3(zinc- and ring finger 3)に焦点を合わせて、この方法が大腸がん特異的な分解を可能にすることを示す。また、これ以外の細胞表面E3ユビキチンリガーゼと膜貫通受容体の種々の組み合わせを調べることにより、この技術が「オンデマンド」の分解に対応できることを実証する。さらに、抗体の構成を最適に改変することにより、標的の分解を支配する基本法則についての手掛かりが得られた。まとめるとこの研究は、細胞表面タンパク質を組織選択的に標的とする、生物学的利用が可能で強力な分解剤の迅速な開発戦略を示している。

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