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進化学:有胎盤哺乳類の生活史の起源

Nature 610, 7930 doi: 10.1038/s41586-022-05150-w

白亜紀末の大量絶滅の後、有胎盤哺乳類は急速に多様化して重要なニッチを占め、体サイズを増大させたが、こうした大型化は他の獣類には当てはまらなかった。特別に長期化した胎仔の妊娠期間が、有胎盤哺乳類の成功と大型化の要因となった可能性があるが、初期の有胎盤類の生殖様式はいまだ解明されていない。本論文では、古組織学および地球化学を用い、真に大きな体サイズを獲得した最初の哺乳類を含むクレードである汎歯類の6200万年前の動物について、有胎盤類の生活史の最古の記録を提示する。我々は、歯の微量元素マッピングの応用範囲を6000万年拡大して出生および離乳の化学マーカーを特定し、それらを歯列の日単位の成長記録に対応させた。Pantolambda bathmodonは、妊娠期間が短く(約7か月)、歯の発生が迅速で、授乳期間が短かった(約30~75日間)ことから、非有胎盤哺乳類や中生代の既知の祖先動物とは異なり、非常に早成性であったことが示された。これらの結果は、P. bathmodonが有胎盤類様の生殖を行い、体サイズの割に速いペースで生活していたことを実証している。P. bathmodonが有胎盤類の近縁動物を反映していると仮定すると、今回の知見は、十分に発達した早成性の幼体を産む能力が有胎盤類進化の初期に確立され、新生仔の大型化が初期の有胎盤類の急速な大型化を生じる機構であった可能性を示唆している。

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