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材料科学:2D遷移金属ジカルコゲニド用のp型電気接触
Nature 610, 7930 doi: 10.1038/s41586-022-05134-w
デジタル論理回路は、相補型金属酸化膜半導体技術を用いた、n型とp型の電界効果トランジスター(FET)の相補的な対に基づいている。三次元(3D)半導体、すなわちバルク半導体では、アクセプター不純物やドナー不純物の置換ドーピングを用いてp型FETやn型FETが実現されている。しかし、二次元(2D)遷移金属ジカルコゲニド(TMD)などの低次元半導体では、制御可能なp型ドーピングは難しいことが分かっている。2D TMDに高品質で低抵抗のn型ファンデルワールス(vdW)接触を実現することは可能だが、2D TMDへの高仕事関数金属の蒸着によるp型デバイスの作製は、今のところ実現していない。今回我々は、パラジウムや白金などの高仕事関数金属の工業的適合性の高い電子ビーム蒸着を用いて、単層および数層の二硫化モリブデンや二セレン化タングステンで高性能p型デバイスを得たことを報告する。我々は、原子分解能の画像化法と分光法を用いて、2D TMDと3D金属の間に化学的相互作用がない、ほぼ理想的なvdW界面を実証する。電子輸送測定によって、フェルミ準位がピン止めされていないこと、そして、vdW接触に基づくp型FETが、3.3 kΩ μmという低い接触抵抗、室温で約190 cm2 V−1 s−1という高い移動度値、10−5 A μm−1を超える飽和電流、107というオン/オフ比を示すことが明らかになった。さらに我々は、n型とp型のvdW接触に基づく、開回路電圧が0.6 Vで電力変換効率が0.82%という極薄光電池も実証する。

