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気候科学:エアロゾルに対する雲の感度が大きいことを示す目に見えない航跡

Nature 610, 7930 doi: 10.1038/s41586-022-05122-0

水はエアロゾルによって供給される凝結核の表面で凝縮するため、雲の反射率は大気中のエアロゾル濃度に敏感である。人間活動によるエアロゾル濃度の増大は、水滴の数濃度、液体水、雲量に影響を及ぼすが、こうした変化は不確かさが大きくなりやすい。船の航跡は、人工衛星画像に見られる汚染された雲の長い線で、エアロゾルと雲の相互作用を定量化する主要な手段の1つである。しかし、航跡が現れるのは、船の運航によって汚染された雲のごく一部だけである。今回我々は、人工衛星画像に航跡が見られない場合でも、エアロゾルの排出によって雲の性質が大きく変化することを示す。我々は、船の運航が全ての雲に及ぼす影響を定量化する新しい方法を開発し、目に見える航跡がない場合の、雲粒数の増加とより明確な液体水の応答を明らかにした。我々は、目に見える航跡がほとんど現れないことで知られている大西洋の貿易風積雲地域において、船の運航によって生じた雲の性質の変化を直接検出した。今回の結果は、以前の船の航跡の研究には、人工衛星画像から得られた目に見える航跡のみに注目することで選択バイアスの問題が存在したことを示している。我々が見いだした雲水量の強い応答は、エアロゾルの気候に対する冷却効果がより大きいことを意味し、そうでない場合に観測された温度の傾向が示唆すると思われるよりも高い気候感度が隠されている可能性がある。

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