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構造生物学:ヒトのテロメアクロマチンの円柱状構造
Nature 609, 7929 doi: 10.1038/s41586-022-05236-5
真核生物染色体の末端であるテロメアは、老化やがんで重要な役割を果たしており、DNA損傷やDNA損傷応答の標的である。テロメアクロマチンの分子レベルでの構造については、ほとんど知られていない。今回我々は、ネガティブ染色電子顕微鏡法と単一分子磁気ピンセットを用いて、3キロ塩基対の長さのテロメアクロマチン繊維の特性を明らかにした。また、凝縮したテロメアテトラヌクレオソームとそのジヌクレオソーム単位のクライオ電子顕微鏡構造を得た。この構造では、密に積み重なったヌクレオソームが円柱のような形になっており、ヒストン八量体の周囲の連続した超らせん状に巻き付いた、約132塩基対のDNAからなる非常に短いヌクレオソーム反復長が明らかになった。この円柱状構造を主として安定化しているのは、H2Aのカルボキシ末端とヒストンアミノ末端尾部の相乗的な働きである。この円柱状のコンホメーションをとったことでDNAヘリックスが露出し、このためにDNA損傷とDNA損傷応答の両方に感受性となっている可能性がある。このコンホメーションは、別の開いた状態でも存在し、そこではヌクレオソームの1つが重なりから外れてはじき出され、ヒストン表面の酸性の小区画が露出している。この研究により明らかになった構造的特徴は、テロメア維持に関わるタンパク質因子が凝縮した状態のテロメアクロマチンへ接近できる機構を示唆している。

