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古生物学:最古の顎口類の歯
Nature 609, 7929 doi: 10.1038/s41586-022-05166-2
下顎の歯および歯列は有顎脊椎動物の特徴であり、これらを最初に獲得したのは現生の軟骨魚類および硬骨魚類の古生代の祖先であった。化石記録からは現在のところ、顎口類の歯が出現した年代は遅くともシルル紀の後半(約4億2500万年前)であり、続くデボン紀に下顎歯列の成長および換歯機構が進化したことが示されている。本論文では、中国貴州省で出土した複数の遊離の輪状歯(tooth whorl)に基づいて、前期シルル紀の顎口類の新属新種Qianodus duplicisを記載し、有顎脊椎動物に関して我々の知る限り最古の直接的な証拠を提示する。これらの輪状歯は1対の非脱落歯の列からなり、現生の複数の顎口類群に見られる多くの特徴を示している。そうした特徴には、互い違いに並ぶ歯の舌側への累加と、このパターン形成の輪状歯の発達を通した維持が含まれる。我々のデータは、有歯顎口類の記録を後期シルル紀から前期シルル紀(約4億3900万年前)まで1400万年拡張させるもので、脊椎動物の初期の多様化の記録に重要である。今回の分析結果は、有顎脊椎動物が、オルドビス紀の大規模な生物多様化事象(Great Ordovician Biodiversification Event;約4億8500万~4億4500万年前)の一部としてより早い時代に出現していたことを支持する多くの化石証拠に、新たな例を加えるものである。

