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微生物学:大腸においてトリプシンを分解する共生細菌の特定
Nature 609, 7927 doi: 10.1038/s41586-022-05181-3
遠位腸におけるトリプシンなどのプロテアーゼのレベル上昇は、腸の病的状態と関連付けられてきた。しかし、腸管腔におけるプロテアーゼ調節の担い手や機構は明らかになっていない。今回我々は、健康なヒトドナーの糞便マイクロバイオームから単離されたParaprevotella属の複数の株が、強力なトリプシン分解共生細菌であることを示す。機構的には、Paraprevotella属細菌は、IX型分泌系依存的な多糖アンカータンパク質を介して、細菌表面にトリプシンを動員し、トリプシンの自己消化を促進する。Paraprevotella属細菌の定着によりIgAがトリプシンによる分解から保護され、Citrobacter rodentiumに対する経口ワクチンの有効性が高まった。さらに、マウス肝炎ウイルス(MHV-2)は宿主細胞への侵入をトリプシンおよびトリプシン様プロテアーゼに依存するマウスコロナウイルスであるが、Paraprevotella属細菌の定着により、このウイルスによる致死感染が抑制された。これと一致して、腸のマイクロバイオームでのトリプシン分解に関与すると推定される遺伝子を保持することは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染患者における下痢の重症度の低下と関連していた。従って、トリプシン分解共生細菌の定着は、腸の恒常性維持や病原体感染の防御に関与する可能性がある。

