Article

物性物理学:アイソスピン拡張ハバード模型シミュレーターにおける調整可能な量子臨界性

Nature 609, 7927 doi: 10.1038/s41586-022-05106-0

強電子相関の研究は、物性物理学の未開拓分野を切り開くのに不可欠な原動力となっている。特に、電子相関によって駆動される量子相転移(QPT)の近傍では、複数自由度の量子臨界ゆらぎによって、エキゾチックな多体状態やランダウの枠組みを超えた量子臨界挙動が促進される。最近、ファンデルワールス材料のモアレヘテロ構造が、興味深い強相関量子物理を探る高度に調整可能な量子プラットフォームであることが実証されている。今回我々は、カイラル積層ねじれ2層グラフェン(cTDBG)に生じるスピン–バレーアイソスピンを伴う拡張ハバード模型の実験的シミュレーターにおいて、調整可能な量子臨界性を観測したことを報告する。スケーリング解析によって、一般化されたウィグナー結晶が変位場の変化によってフェルミ液体に転移する際に異なる2つの量子臨界点が現れるという、二段階量子臨界性が示され、臨界中間相の出現が示唆された。この二段階量子臨界性は、高い平行磁場を印加すると量子擬臨界性へと変化する。そうした擬臨界性では、量子臨界スケーリングが臨界温度以上でのみ有効であり、その温度で弱い一次QPTを示すことが見いだされた。今回の結果は、エキゾチックな量子臨界状態や量子臨界挙動を探るための、多自由度の複雑な相互作用を伴う高度に調整可能な固体状態シミュレーターを実証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度