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免疫学:レトロエレメントLx9はウイルス感染に対する免疫応答にブレーキをかける

Nature 608, 7924 doi: 10.1038/s41586-022-05054-9

転位性遺伝因子と呼ばれる核酸の可動単位がゲノム制御エレメントとして機能し得るという考え方は、60年以上前に提唱された。しかし、ゲノム塩基配列解読技術が進歩して初めて、転位性遺伝因子の豊富さとレパートリーが明らかになり、現在では転位性遺伝因子が哺乳類ゲノムの最大3分の2を構成していることが知られている。転位性遺伝因子内にプロモーター、エンハンサー、転写因子結合部位などのDNA調節領域が存在することは、転位性遺伝因子が哺乳類の遺伝子発現や細胞表現型の調節に転用されているという仮説につながった。哺乳類の転位性遺伝因子には、最近獲得されたものと、進化を経てもゲノムに保持され続けてきた古代の転位性遺伝因子がある。古代の転位性遺伝因子が保存されて今も存在しているということは、こうした因子が調節機能を持つ可能性が高いことを示しているが、機能的検証はいまだに、適応度に正の影響を及ぼす転位性遺伝因子の挿入を特定するという基本的な段階にとどまっている。今回我々は、マウスにおいて、LINE-1レトロトランスポゾンであるLx9c11と呼ばれる転位性遺伝因子をCRISPR–Cas9により欠失させると、ウイルス感染に対する免疫応答が増強して致死的になることを示す。Lx9c11はノンコーディングRNA(Lx9c11-RegoS)の新生に重要で、Lx9c11-RegoSはウイルスに感染したLx9c11−/−マウスでSchlafenファミリーの遺伝子を調節し、過剰炎症表現型を低減させて、致死を救済する。これらの知見は、転位性遺伝因子がウイルス感染の際に免疫系を制御して、宿主の生存に有利に働き得ることを示す証拠を提示している。

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