生物工学:単一細胞の経時的なトランスクリプトーム記録を可能にするLive-seq
Nature 608, 7924 doi: 10.1038/s41586-022-05046-9
単一細胞トランスクリプトミクス(scRNA-seq)によって、細胞の不均一性の特徴を明らかにする我々の能力は大きく進歩した。しかし、scRNA-seqでは細胞を溶解する必要があり、そのため、同一細胞でのさらなる分子解析や機能解析が妨げられている。今回我々は、流体力顕微鏡法を用いてRNA抽出中に細胞の生存を保持することで、細胞の基底状態トランスクリプトームとその下流の分子的挙動や表現型挙動との関連付けを可能にする、単一細胞のトランスクリプトームプロファイリング法「Live-seq」を開発した。我々は、Live-seqのベンチマーク評価を行うため、細胞の成長、機能的応答、全細胞トランスクリプトームの読み出しデータを用い、Live-seqが、細胞に大きな摂動を誘発することなく、さまざまな細胞のタイプおよび状態を正確に層別化できることを実証した。概念実証として、我々は、個々のマクロファージのトランスクリプトームをリポ多糖(LPS)刺激の前後で、また、脂肪ストローマ細胞のトランスクリプトームを分化の前後で連続的にプロファイリングすることで、Live-seqが細胞の軌跡の直接マッピングに使用できることを示す。さらに我々は、個々のマクロファージのトランスクリプトームを事前登録し、LPS曝露後にタイムラプス画像化法でモニタリングすることにより、Live-seqがトランスクリプトームのレコーダーとして機能し得ることを実証する。これにより、遺伝子を、それらがマクロファージのLPS応答の不均一性に及ぼす影響力に基づいて、ゲノム規模で教師なしランク付けすることが可能になり、基底のNfkbia発現レベルと細胞周期状態が、表現型の重要な決定因子であることが明らかになった。この結果は実験で確認された。このように、Live-seqは、scRNA-seqを終点の解析法から経時的な解析法へと転換することにより、広範な生物学的問題への取り組みを可能にする。

