構造生物学:細菌の活性化TIR–STINGフィラメント複合体のクライオ電子顕微鏡構造
Nature 608, 7924 doi: 10.1038/s41586-022-04999-1
STING(stimulator of interferon genes)は、動物の自然免疫および原核生物のファージ防御の両者で広く保存されている抗ウイルスシグナル伝達タンパク質である。STINGの活性化には、サイクリックジヌクレオチドの結合を介したオリゴマーフィラメント構造の組み立てが必要であるが、STINGフィラメントの組み立てと伸長の分子基盤については明らかにされていない。今回我々は、クライオ電子顕微鏡を用いて、スフィンゴバクテリア類の細菌Sphingobacterium faeciumのCBASS(cyclic oligonucleotide-based antiphage signalling system)防御オペロン由来の活性型のTIR(Toll/インターロイキン1受容体)–STINGフィラメント複合体構造を決定した。細菌のTIR–STINGフィラメント形成は、コグネイトのサイクリックジヌクレオチドシグナルc-di-GMPが高親和性認識された時に露出する、STING界面によって誘導される。反復単位である二量体STINGは、表面の界面を介して同じ向きで側方に積み重なり、これは、ヒトSTING四量体形成や哺乳類での下流の免疫シグナル伝達にも必須である。この細菌の活性化TIR–STING構造から、フィラメント間でのさらなる接触が明らかになった。この接触は集合体を固定し、フィラメントの基部で結合するTIR NADアーゼのエフェクタードメインのパッキングを調整することで、NAD+の加水分解を誘導する。STING界面での接触やフィラメント間での接触はin vivoでの細胞増殖停止に必須であり、STINGフィラメントの組み立てが、続いて起こるエフェクターの活性化に必要となる段階的な活性化機構を示している。我々の結果は、原核生物の抗ウイルスシグナル伝達におけるSTINGフィラメント形成の構造的基盤を明らかにしている。

