Article
生物工学:ミトコンドリア塩基エディターは核でかなりのオフターゲット変異を引き起こす
Nature 606, 7915 doi: 10.1038/s41586-022-04836-5
DddA由来シトシン塩基エディター(DdCBE)は、2分割したDddAの半分と細菌由来のTALE(transcription activator-like effector)アレイタンパク質とを融合させたもので、ミトコンドリアDNA中の標的C•GをT•Aに変換できる。しかし、そのゲノム規模での特異性については、ほとんど分かっていない。今回我々は、このミトコンドリア塩基エディターが、核ゲノムに非常に多くのオフターゲット編集を誘発することを明らかにする。このようなエディトーム(編集結果全体)のゲノム規模での偏りのない分析により、TALEアレイ配列(TAS)に依存するオフターゲット部位、あるいは依存しないオフターゲット部位が数百余り見つかった。核DNA中のTASに依存するオフターゲット部位は、2個のTALE反復配列のうちの1個だけで特定されることが多く、DdCBEはごく接近した位置にある対になったTALEタンパク質によって誘導されるという考えの正しさが疑わしくなった。核DNA中にあってTASに依存しないオフターゲット部位は、異なったTALEアレイを持つDdCBEの間で共通している場合が非常に多い。特に、これらの部位は転写因子CTCFの結合部位に一緒に局在することが多く、トポロジカルドメインの境界域に集中して多数存在する。我々は、このようなオフターゲット効果を軽減するようにDdCBEを改変した。まとめるとこれらの結果は、基礎研究や治療でのDdCBE使用に大きく影響するものであり、塩基編集に使われる手法のオフターゲット効果について、徹底的な調査と評価が必要であることを示している。

