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分子進化学:酵母の代表遺伝子の同義変異はその大半が強く非中立である
Nature 606, 7915 doi: 10.1038/s41586-022-04823-w
タンパク質コード遺伝子の同義変異は、タンパク質のアミノ酸配列を変化させないため、一般に中立またはほぼ中立と見なされている。今回我々は、この推定を実験で検証すべく、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の機能および発現レベルが多様な21の内因性遺伝子で、このうち1つの遺伝子に同義変異、非同義変異またはナンセンス変異を1つだけ持つ8341の変異体を作製し、富栄養培地での適応度を野生型と比較して評価した。その結果、同義変異の4分の3は適応度の著しい低下につながり、適応度効果の分布は、同一ではないまでも、同義変異と非同義変異とで全般的に類似していることが分かった。同義変異と非同義変異は共に、その変異を持つ遺伝子のmRNA発現レベルを頻繁に乱し、そうした撹乱の程度は適応度効果を部分的に予測した。環境を変えて調べたところ、各環境における適応度の分布は同義変異と非同義変異で類似していたにもかかわらず、異なる環境間での適応度の変動は同義変異よりも非同義変異の方が大きいことが明らかになった。これは、変化する環境では、変異の固定を許容するために、常に無害となる変異体の割合は同義変異体よりも非同義変異体で少なくなっていることを示唆しており、これによって、非同義置換の比率が同義置換を大きく下回るという一般的な観察結果が説明できる可能性がある。同義変異の大半に見られるこの強い非中立性が、他の遺伝子や他の生物にも当てはまるとすれば、変異、選択、有効個体群サイズ、分岐時間、疾患機序に関して、同義変異が中立であるという仮定に基づく無数の生物学的結論を再検討する必要が出てくるだろう。

