Article

素粒子物理学:結合したイオンにおける束縛電子のg因子の差の測定

Nature 606, 7914 doi: 10.1038/s41586-022-04807-w

量子電磁力学(QED)は、物理学の最も基本的な理論の1つであり、実験結果と見事に一致することが示されている。特に、ペニングトラップにおける高電荷イオンの電子磁気モーメント(g因子)の測定から、QEDを厳密に調べるプローブが得られ、これによって、最も強い電磁場での標準模型の検証が可能になる。同位体間の差を調べる際には、電子配置が同一であるため多くの共通するQEDの寄与が相殺されることで、原子核の違いに由来する複雑な効果の分解が可能になる。しかし実験では、特にイオン質量の精度や磁場の安定性によって、すぐに制限される。今回我々は、2つの高電荷イオンを共に捕捉し、それらのg因子の差を直接測定することによって、こうした制限を克服する測定法について報告する。我々は、共通のマグネトロン軌道に固定され数百マイクロメートルだけ離れたイオンを用いた、デュアルラムゼー型の測定方式を適用し、スピン歳差運動の周波数差をコヒーレントに抽出した。その結果、同位体の20Ne9+22Ne9+の束縛電子のg因子が、最新の手法と比べて約2桁高い0.56 ppt(5.6 × 10−13)の精度で測定された。これによって、原子核反跳に対するQEDの寄与が分解され、対応する理論の妥当性が正確に確かめられるとともに、新しい物理に対する制約条件を設定する別の方法が得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度