Article

古生物学:化石の生体分子から明らかになった祖先的な恐竜の鳥類型の代謝

Nature 606, 7914 doi: 10.1038/s41586-022-04770-6

鳥類と哺乳類は、現生動物の中で最高レベルの代謝速度をそれぞれ独自に進化させた。こうした高い代謝によって発生する熱が能動的な体温調節を可能にし、これが、鳥類や哺乳類が占有し得るニッチおよび環境変化への適応性を形作ってきた。鳥類の代謝能は哺乳類よりも高く、そのステム系統に沿って進化してきたと考えられている。しかし、化石標本からの代謝速度の直接推測を可能にする代理指標は存在しない。今回我々は、現生羊膜類および化石羊膜類の骨で、in situラマン分光法およびフーリエ変換赤外分光法を用い、代謝によるlipoxidationシグナルのin vivo蓄積を定量化した。その結果、大気中酸素濃度と代謝速度の間の相関は全く認められなかった。推察される祖先的状態からは、内温性と一致する代謝速度が哺乳類と首長竜類で別々に進化したこと、そして、この特徴は鳥頸類の祖先的なものであり、代謝速度は鳥類系統に沿って高まっていったことが明らかになった。高い代謝速度は、鳥類の飛行をはじめとするエネルギー的に高コストの適応が出現するはるか前に、翼竜類、鳥盤類、竜脚類、獣脚類で獲得されていた。鳥盤類は、祖先の代謝速度は高かったが、その後外温性に向けて代謝能力を低下させた。そうした外温動物の生理学的活動は環境および行動による体温調節に依存しており、内温動物の能動的な生活様式とは対照的である。巨大な竜脚類および獣脚類は慣性恒温性ではなく、真の内温動物だった。クラウン群の哺乳類および鳥類に加え、後期白亜紀の多くのタクソンで内温性が見られたことは、白亜紀末の大量絶滅時の運命を決定したのが代謝以外の属性であったことを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度