がん免疫療法:ADAR1はZBP1依存性ネクロトーシスのがん免疫療法で見込まれる有効性を遮蔽する
Nature 606, 7914 doi: 10.1038/s41586-022-04753-7
免疫チェックポイント阻害(ICB)に基づく単剤療法に対して持続的な応答が見られるのは、がん患者のごく一部にすぎない。RNA編集酵素であるADAR1は、ICB療法に対する抵抗性の新たに明らかになった決定因子であり、内因性レトロウイルスエレメント(ERE)の発現調節異常から生じるような免疫原性の二本鎖RNA(dsRNA)を抑制することで、ICBへの応答性を阻害する。このようなdsRNAは、A型dsRNA(A-RNA)を感知するMDA-5やPKRなどのタンパク質を活性化して、インターフェロン依存性の抗腫瘍応答を誘発する。今回我々は、ADAR1が、インターフェロン誘導性のmRNAの3′非翻訳領域に集中的に多く見られる内因性Z型dsRNAエレメント(Z-RNA)の増加も妨げることを示す。ADAR1の枯渇や変異は、Z-RNAの蓄積やZ-RNAセンサーであるZBP1の活性化を引き起こし、その結果としてRIPK3を介したネクロトーシスをもたらした。現在、臨床での使用が可能なADAR1阻害剤は存在しないため、我々はADAR1阻害を必要とせず、ZBP1を直接活性化できる化合物を探索し、細胞内でZ-DNA形成を誘発することでZBP1を強力に活性化する小分子であるクラキシンCBL0137を発見した。CBL0137は、がん関連繊維芽細胞でZBP1依存的なネクロトーシスを誘導し、黒色腫のマウスモデルでICBへの不応答性を回復させた。まとめるとこれらの結果は、ADAR1が内因性Z-RNAを抑制することを実証し、ZBP1を介したネクロトーシスが、ADAR1により遮蔽される腫瘍免疫原性の新たな決定因子であることを明らかにしている。ZBP1が誘導するネクロトーシスの活性化という治療法は、ICB抵抗性ヒトがんの免疫応答性を再活性化させるための臨床で実用化しやすい経路となるだろう。

