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遺伝学:ブタではABO遺伝子型によってGalNAcレベルが調節されて腸の微生物相が変化する

Nature 606, 7913 doi: 10.1038/s41586-022-04769-z

腸のマイクロバイオームの組成は個体間で大きく異なり、健康状態と相関している。この変動に宿主の遺伝的性質がどの程度、どのように関与しているかを理解することは極めて重要だが、特にヒトでは再現性のある関連がほとんどないため難しいことが示されている。今回我々は、大規模なモザイクブタ集団において、腸の微生物相の組成に及ぼす宿主の遺伝子型の影響を調べた。その結果、遺伝的多様性を減らして環境を均一にする条件下では、微生物相の組成と特定のタクソンの存在量は遺伝性であることが分かった。エリシペロトリックス科の種の存在量に影響を及ぼす量的形質座位をマッピングしたところ、ヒトでABO式血液型の基盤となるN-アセチル-ガラクトサミニル-トランスフェラーゼをコードする遺伝子の2.3 kbの欠失がこうした影響の原因であることが分かった。この欠失は平衡選択によって350万年以上にわたり維持されてきた、種横断的な多型であることが分かった。我々は、これによって腸のN-アセチルガラクトサミンの濃度が低下し、それによってN-アセチルガラクトサミンを取り込んで異化できるエリシペロトリックス科の存在量が低下することを実証する。今回の結果は、宿主の遺伝子型が腸の特定の細菌の存在量に影響を及ぼすことを示す非常に強力な証拠と共に、この関連の基礎となる分子機構についての手掛かりを提供するものである。我々のデータは、農村部のヒト集団において同じ影響を特定するための道を開く。

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