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原子核物理学:微視的な衝突と巨視的な衝突から中性子星の物質を絞り込む
Nature 606, 7913 doi: 10.1038/s41586-022-04750-w
超新星爆発や中性子星衝突などの高エネルギー天体物理現象を解明するためには、超原子核密度の物質についてのロバストな理解が必要である。しかし、中性子星のコアで探られる高密度物質に関する我々の知識は、まだ限られている。幸いなことに、高密度物質は天体物理学的な観測だけでなく、地球上の重イオン衝突実験でも調べられている。今回我々は、ベイズ推定を用いて、中性子星の天体物理学的なマルチメッセンジャー観測から得られたデータと、相対論的なエネルギーの金原子核の重イオン衝突から得られたデータを、微視的な原子核理論計算と組み合わせて、高密度物質に関する理解を深めた。重イオン衝突のデータを取り入れると、これまでの解析に比べて高密度物質の圧力の増大が示され、これによって中性子星の半径がより大きい値にシフトすることが見いだされた。この結果は、中性子星内部組成探査(NICER)ミッションで得られた最近の観測結果と矛盾しない。今回の知見は、重イオン衝突実験による絞り込みの結果がマルチメッセンジャー観測の結果と非常によく一致し、中間密度の核物質に関する補完的な情報をもたらすことを示している。今回の研究は、原子核理論、原子核実験、天体物理学的観測を組み合わせたもので、統合解析が、中性子に富む超原子核物質の特性を中性子星において調べられている密度範囲にわたっていかに解明し得るかを示している。

