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エネルギー貯蔵:Liリッチ層状酸化物カソードにおける構造劣化の起源
Nature 606, 7913 doi: 10.1038/s41586-022-04689-y
カチオンとアニオンの両方の酸化還元を利用した、リチウム(Li)とマンガン(Mn)に富む(Li–Mnリッチ;LMR)カソード材料は、電池のエネルギー密度の大幅な増大をもたらすことができる。しかし、電圧減衰の問題によって連続的エネルギー損失が生じ、商業化の妨げとなっているものの、この現象の前提条件となる駆動力は、まだ解明されていない。今回我々は、in situナノスケール高感度コヒーレントX線回折撮像法を用いて、セルの動作中にナノひずみと格子変位が絶えず蓄積されることを明らかにする。このナノひずみと格子変位の蓄積効果が、LMRカソードにおいてよく知られた急速な電圧減衰を引き起こす構造劣化と酸素欠損の両方の駆動力であることが、証拠によって示された。我々は、原子構造レベル、一次粒子レベル、多粒子レベル、電極レベルに及ぶマイクロスケールからマクロスケールの長さで特性評価することによって、LMRカソードの不均一性が必然的に、有害な相変位/ひずみを生じさせることを実証する。こうした影響は、従来のドーピング法やコーティング法では排除できない。従って我々は、格子変位や不均一な電気化学的/構造的変化を軽減させて安定した電圧プロファイルと容量プロファイルを実現する戦略として、メソ構造設計を提案する。今回の知見は、電圧減衰が生じる際の格子ひずみ/変位の重要性を浮き彫りにするとともに、LMRカソード材料の広範な商業化の可能性を引き出す多くの取り組みに着想を与えると思われる。

