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物性物理学:メゾスコピック二次元フェルミガスにおけるクーパー対の観測

Nature 606, 7913 doi: 10.1038/s41586-022-04678-1

強相関フェルミオン対の形成は、フェルミオンの超流動や超伝導が出現するのに不可欠である。例えば、系のフェルミ面にあるスピンと運動量が反対の2つの電子でできたクーパー対は、従来型の超伝導の出現を微視的に説明するバーディーン–クーパー–シュリーファー(BCS)理論の重要な要素である。対形成の背後にある機構の理解は、多くの強相関フェルミオン系の研究において、今なお課題となっている。従って、クーパー対が生じる制御可能な多体系は望ましいと思われる。今回我々は、メゾスコピックな二次元フェルミ気体において、クーパー対を直接観測した。我々は、強く相互作用しているフェルミ気体の全in situ運動量分布を、単一粒子および単一スピンの分解能で抽出できる撮像手法を適用した。今回の極低温気体によって、全く相互作用せず対形成していない系と、フェルミ面でクーパー対相関が見いだされた弱い引力の間で、自由な調整が可能になった。引力相互作用がさらに強くなると、対は次第に、深く束縛された分子へと変化し、フェルミ面が壊れる。我々のメゾスコピック系は、原子核、超伝導グレイン、量子ドットの物理と密接に関連している。今回の実験における、相互作用、粒子数、ポテンシャルランドスケープの正確な制御によって、今回の研究で確立されたオブザーバブルから、こうしたメゾスコピック系だけでなく、そうした系と巨視的な世界のつながりに関する長年の疑問に答える手法が得られる。

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