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ウイルス学:抗HIV-1抗体療法による長期のウイルス抑制

Nature 606, 7913 doi: 10.1038/s41586-022-04597-1

HIV-1感染はいまだ不治の公衆衛生問題である。抗レトロウイルス療法(ART)は有効だが、安定的なリザーバーがCD4+ T細胞のゲノムに組み込まれた潜伏性プロウイルスとして存在するため、生涯にわたる薬剤投与が必要である。抗HIV-1抗体による免疫療法は、感染を抑制し、感染細胞の除去率を高める可能性がある。今回我々は、ARTを継続あるいは中断したHIV感染者に対し、2種類の抗HIV広域中和抗体を20週間にわたって7回併用投与した臨床研究について報告する。抗体感受性の事前スクリーニングは行っていないが、被験者の76%(17人のうち13人)では、ART中断中に少なくとも20週間にわたってウイルス学的抑制が維持された。感受性の事後解析では、ウイルスのリバウンドまでの期間を予測できなかった。ウイルスの抑制が20週間以上持続した被験者では、どちらかの抗体の血清濃度が10 µg ml−1未満になった後、リバウンドによるウイルス血症が見られた。7回の抗体投与を全て受けた被験者のうち2人では、1年後も抑制が維持されていた。抗体療法の6か月後に行ったリザーバー解析から、無傷プロウイルスのリザーバーのサイズと組成に変化が見つかった。対照的に、同じ被験者の異常なプロウイルスリザーバーでは、測定可能な減少は見られなかった。これらのデータは、抗体投与がHIV-1リザーバーに影響を及ぼすことを示唆しているが、抗体免疫療法がリザーバーに及ぼす正確な影響を明らかにするには、さらに大規模で長期にわたる研究が必要だろう。

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