Review
天文学:成熟期を迎えたX線天文学
Nature 606, 7913 doi: 10.1038/s41586-022-04481-y
チャンドラX線観測衛星(チャンドラ衛星)とX線マルチミラーミッション衛星(XMM-ニュートン衛星)によって、宇宙の高エネルギー過程に関する知識の最前線は広がり続けている。これらの画期的な宇宙天文台はX線天文学に革命をもたらしており、サイズの範囲が数キロメートル(彗星)から数百万光年(銀河団)で、粒子密度の範囲が20桁を超える天体で生じる宇宙X線に関わる物理過程や極限状態が明らかになっている。こうした天文台は、地球上で利用可能な条件をはるかに超える条件で物質を調べることによって、宇宙における我々の位置や、我々の存在を支配する基本法則を理解するための探究に中心的な役割を担っている。チャンドラ衛星とXMM-ニュートン衛星は、サブ秒角の撮像と広範囲の波長にわたる高分解能分光観測の進歩を組み合わせて調査対象となっている現象のより完全な描像を得るという、さらに大きな展望の一部にもなっている。これらのミッションが成熟するにつれ、より深部の観測とより多くのサンプルによって我々の知識がさらに広がり、新しい現象や新しい施設との共同研究によってしばしば予期せぬ刺激的な発見が生まれる。本総説では、木星のオーロラ活動、超新星残骸内での宇宙線加速、中性子星の衝突、低密度高温プラズマ中のミッシングバリオン、ビッグバンから10億年未満で形成された超大質量ブラックホールなどの、幅広い研究のハイライトを紹介する。

