Article
ゲノミクス:エンバクのモザイクゲノムから得られた比類なく健康的な穀類作物に関する知見
Nature 606, 7912 doi: 10.1038/s41586-022-04732-y
栽培エンバク(Avena sativa L.)は異質六倍体であり(AACCDD、2n = 6x = 42)、3000年以上前にアナトリアにおいて、コムギ、エンマーコムギ、オオムギの圃場で雑草として生育する中で栽培化されたと考えられている。エンバクはカーボンフットプリントが低く、健康上の利益が大きく、動物性食品の代替品となる可能性がある。しかし、完全に注釈付けされた参照ゲノムが存在しないため、その複雑な進化史および機能的遺伝子の動態を解明する取り組みが妨げられてきた。本論文では、エンバク、ならびに近縁の二倍体祖先種Avena longiglumis(AA、2n = 14)および四倍体祖先種Avena insularis(CCDD、2n = 4x = 28)に関して、高品質の参照ゲノムを提示する。我々は、エンバクゲノムのモザイク状構造を明らかにし、エンバクの倍数体化の歴史における大規模なゲノム再編成をたどるとともに、エンバクのゲノム構造に関連する育種上の障壁を説明する。我々はまた、ヒトの健康および栄養に関わる遺伝子ファミリーの詳細な解析の結果を示し(これにより、グルテンフリー食におけるエンバクの安全性を支持する証拠が増えた)、水利用効率に関連する農業形質の塩基配列解読によるマッピング(mapping-by-sequencing)も行った。今回得られたカラスムギ属(Avena)の情報資源は、他の穀類ゲノムからの知識の利用、エンバクの基本的な生物学的性質に関する理解の向上、ならびにゲノミクスに支援された育種および量的形質研究の再解析の加速に役立つだろう。

