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細胞生物学:MCM複合体はコヒーシンを介したループ突出を制限する障壁である

Nature 606, 7912 doi: 10.1038/s41586-022-04730-0

真核生物のゲノムは凝縮されてループとトポロジカルドメイン(TAD)の形をとっており、これらが転写、組換えやゲノムの安定性に関わっている。コヒーシンは、DNAを突出させてループ状にし、ループはCTCF境界に出合うまで伸びていくと考えられている。しかし、ループの突出がDNAに結合した何らかの機械装置によって妨げられるのかどうかについては、ほとんど分かっていない。今回我々は、MCM(minichromosome maintenance)複合体が、G1期でのループ突出を制限する障壁となっていることを明らかにする。マウス接合子の1個の核でHi-C法(high-resolution chromosome conformation capture)を使ったところ、MCMの結合によってCTCFに係留されたループが減少し、TAD境界の遮蔽も減ることが分かり、CTCFに到達する前にループの突出が妨げられることが示唆された。この影響はHCT116細胞でも見られ、CTCFに係留されたループの数や遺伝子の発現がMCMによって変化した。シミュレーションによって、MCMは豊富に存在し、ランダムに配置される障壁であり、ある程度の透過性を持つことが示唆された。単一分子画像化法により、MCMはin vitroでコヒーシンの転移を頻繁に制限する物理的な障壁であることが明らかになった。ヒトMCM3由来のコヒーシン結合モチーフを含む酵母のキメラMCMがコヒーシンの停止を引き起こすことは、MCMが結合部位を持つ「能動的な」障壁であることを示している。これらの知見から、コヒーシンがループの突出によってMCMに到達し、それが姉妹染色分体の接着が生じるゲノム部位を決定するという可能性が浮かんでくる。これらのin vivo、in silicoおよびin vitroのデータに基づいて、ループ突出の独特な障壁がゲノムの三次元構造を形作ると、我々は結論する。

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