発生生物学:Gibbinによる中胚葉調節が上皮発生のパターンを形成する
Nature 606, 7912 doi: 10.1038/s41586-022-04727-9
ヒトの発生の間に外胚葉のパターン形成が適切に行われるには、GATA3やp63などのこれまでに見つかっている転写因子に加えて、局所の中胚葉からの位置シグナル伝達が必要である。しかし、外胚葉と中胚葉の因子が作用して遺伝子発現や細胞系譜拘束のパターン形成が安定に行われる際の機構は分かっていない。今回我々は、Xia–Gibbs症候群の疾患遺伝子AHDC1(AT-hook DNA-binding-motif-containing 1)にコードされるタンパク質のGibbinが、初期の上皮形態形成の重要な調節因子であることを明らかにする。エンハンサー、もしくはプロモーターに結合したGibbinは、数十の塩基配列特異的なジンクフィンガー転写因子およびメチルCpG結合タンパク質と相互作用して、中胚葉遺伝子の発現を調節することが分かった。Gibbinが失われると、GATA3依存性の中胚葉遺伝子でのDNAメチル化の増加が引き起こされ、その結果、発生中の真皮タイプの細胞と表皮タイプの細胞の間のシグナル伝達が起こらなくなる。特に、Gibbin変異体を持つヒト胚性幹細胞由来の皮膚オルガノイドでは真皮の成熟が起こらず、ケラチノサイト層形成に異常を示すp63発現基底細胞が生じる結果となる。in vivo CRISPRによるキメラマウス変異体では一連のGibbin依存性の発生パターン形成異常が見られ、頭蓋顔面構造、腹壁閉鎖、表皮層形成に影響を及ぼしていて、これらは患者で見られる表現型によく似ている。我々の結果は、Xia–Gibbs症候群やそれに関連のある症候群に見られるパターン形成表現型が、遺伝子特異的なDNAメチル化決定の結果である異常な中胚葉成熟に由来することを示している。

