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量子情報:プログラム可能なフォトニックプロセッサーによる量子計算の優位性

Nature 606, 7912 doi: 10.1038/s41586-022-04725-x

量子コンピューターの計算優位性は、明確に定義されたタスクに対して既知の最良のアルゴリズムを実行する古典的コンピューターを凌駕したときに達成される。これまで、全ての量子ゲートをプログラムできるようにしたフォトニックマシンで、量子計算の優位性を実証したものはなく、従来のマシンの大半は、静的なゲート列に限定されていた。また、量子ハードウエアから得られるサンプルより理想分布に近いサンプルを、直接シミュレートせずに古典的な発見的手法によって生成するこれまでのフォトニックによる実証は、スプーフィングに対しても脆弱であった。今回我々は、実装された全てのゲートで動的プログラムが可能なフォトニックプロセッサーである「ボレアリス(Borealis)」を用いて、量子計算の優位性を報告する。我々は、時間多重化した光子数識別アーキテクチャーを用いて、三次元接続性によってエンタングルした216個のスクイーズドモードでガウシアンボソンサンプリング(GBS)を実行した。プログラムされた分布から厳密な方法を用いて単一サンプルを生成するには、利用可能な最良のアルゴリズムとスーパーコンピューターでは平均で9000年以上かかると思われるのに対して、ボレアリスでは36μsしかかからない。この実行時間の優位性は、これまでのフォトニックマシンから報告された優位性より5000万倍以上高い。今回の実験は、最大光子数が219個で平均光子数が125個の事象を記録する、非常に大規模なGBS実験である。今回の成果は、実用的な量子コンピューターの実現への重要な節目であり、この目標に向けたプラットフォームとしてのフォトニクスの重要な技術的特徴の妥当性を実証している。

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