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神経科学:性腺ホルモン受容体による遺伝子調節が脳の性差を生む
Nature 606, 7912 doi: 10.1038/s41586-022-04686-1
エストラジオールは多くの脊椎動物で神経の性差を確立し、成体期において気分や行動、エネルギーバランスを調節する。カノニカルな経路では、エストラジオールは転写因子であるエストロゲン受容体α(ERα)を介してその効果を発揮する。ERαの特性は乳がんでは広範に調べられているが、ニューロンでのERαの標的や、脳の性差への関与についてはほとんど分かっていない。今回我々は、社会的行動を仲介する性的二型性神経回路における、ゲノム中のERα結合部位の包括的なマップを作製した。その結果、ERαは、雄に偏った2種類のニューロンタイプの確立と、雄に偏った持続的な遺伝子発現プログラムの活性化という2つの機構を介して、マウスの脳で性分化を調整すると結論付けられた。まとめると我々の知見は、遺伝子発現の性差が、ニューロンのステロイド受容体のホルモン活性化によって決まることを明らかにしている。今回見つかった分子標的は、脳の発達や行動、疾患に対するエストラジオールの影響の原因である可能性がある。

