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化学:陽電子放射断層撮影法のための[18F]ジフルオロカルベン

Nature 606, 7912 doi: 10.1038/s41586-022-04669-2

全身陽電子放射断層撮影法(全身PET)の出現によって、この強力な分子画像化法の研究や臨床への応用の幅が大きく広がっている。そうした発展性により、フッ素18(18F)の放射化学における進歩が加速され、18F標識(ヘテロ)アレーンやアルカンに利用できる方法が数多く開発されてきた。しかし、ジフルオロメチル基が創薬に不可欠であるにもかかわらず、18F-ジフルオロメチル化分子を高モル活性で得ることは、その大半が未解決の問題となっている。今回我々は、数多くの18F-ジフルオロメチル化過程を可能にする[18F]ジフルオロカルベン試薬を用いて、核画像化分野にカルベン化学を導入することによる一般的な解決策を報告する。数十の既知のジフルオロカルベン試薬とは異なり、この18F試薬は、容易な入手可能性、高いモル活性、汎用性を実現すべく入念に設計されている。モル活性の問題は、ジフルオロカルベン前駆体の電子的特性を変化させたときの同位体希釈の可能性を調べる試験を用いて、解決された。汎用性は、O–H挿入、S–H挿入、N–H挿入を含む複数の[18F]ジフルオロカルベン系反応と、導入しやすい(チオ)フェノール、N-ヘテロアレーン、アリールボロン酸などのありふれた官能基の反応性を生かしたクロスカップリングを用いて実証された。そのインパクトは、非常に複雑で官能基化された生体関連分子や放射性トレーサーの標識化を用いて説明されている。

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