Review
化学生物学:完全にプログラム可能なタンパク質触媒反応への道
Nature 606, 7912 doi: 10.1038/s41586-022-04456-z
効率的な酵素をゼロから設計できる能力は、化学、生物工学、医学に極めて大きな影響を及ぼすと考えられる。タンパク質工学はこの10年で急速に進歩しており、この念願が手が届くところまできたと楽観視できるようになった。金属補因子や非標準的な有機触媒基を含む人工酵素の開発によって、タンパク質の構造をいかに最適化して、非タンパク質構成要素の反応性を利用できるかが示されている。同時に、計算法を用いて、遷移状態安定化の基本原理に基づき、さまざまな反応用のタンパク質触媒が設計されてきた。これまでに設計された触媒の活性はまだかなり低いが、徹底的な実験室進化を用いて効率的な酵素が得られている。また、そうした設計系の構造分析から、活性の強化された触媒の設計に必要となる精度の高さが明らかになっている。この目標に向けては、ディープラーニング(深層学習)などの新たなタンパク質設計法が、モデルの精度向上に特に有望である。本総説では、この分野における重要な進歩を振り返るとともに、現在の最先端を超えたその先への移行と、社会的ニーズに応えるような生物触媒のロバストな設計を可能にするイノベーションの新たな機会を浮き彫りにする。

