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腫瘍生物学:PHGDHの不均一性はがん細胞の播種と転移を促進する
Nature 605, 7911 doi: 10.1038/s41586-022-04758-2
がん転移には、がん細胞が遠隔器官へ広がってそこで病巣を形成するのを可能にする細胞プログラムの一過的な活性化が必要である。この動的な過程には、遺伝子、転写、翻訳の不均一性が関与している。代謝の不均一性も観察されているが、がんのプログレッションにおけるその役割はあまり調べられていない。今回我々は、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ(PHGDH)の減少が、転移性播種を促すことを見いだした。具体的には、乳がん患者の原発腫瘍でのPHGDHの不均一な発現または低発現は、無転移生存期間の短縮と関連していた。マウスでは、循環血中の腫瘍細胞や初期転移病変には、Phgdhlowがん細胞が豊富に見られ、原発腫瘍でPhgdhをサイレンシングすると転移形成が増加した。機構的には、Phgdhは解糖系酵素のホスホフルクトキナーゼと相互作用し、この相互作用が減少するとヘキソサミン–シアル酸経路が活性化され、タンパク質グリコシル化の前駆体が供給される。その結果、インテグリンαvβ3のシアリル化の増加など、異常なタンパク質グリコシル化が起こり、細胞の遊走や浸潤が促進される。また、シアリル化を阻害すると、Phgdhlowがん細胞の転移能が打ち消された。結論として、PHGDHの触媒活性はがん細胞増殖を支援するが、PHGDHタンパク質の発現レベルが低いと、非触媒的にがんの播種と転移形成が促進される。従って、原発腫瘍におけるPHDGH不均一性の存在は、腫瘍が悪性である兆候と考えられる可能性がある。

