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腫瘍免疫学:ヒト腫瘍の免疫変化を組織炎症から抜き出す

Nature 605, 7911 doi: 10.1038/s41586-022-04718-w

免疫療法は、がんの治療で目覚ましい成功を収めているが、大きな課題が残っている。現在の治療法の弱点は、治療標的とする経路が腫瘍に限定されておらず、他の組織の微小環境でも見られるということであり、これが治療を難しくしている。腫瘍微小環境における炎症過程を明らかにするために多大な努力がなされているにもかかわらず、ヒト炎症組織の免疫細胞集団について分かっていないことがあるため、腫瘍に固有の免疫変化の理解が限られている。今回我々は、このような腫瘍によく見られる免疫変化を特定するために、複数の単一細胞解析手法を補完的に用いて、ヒト頭頸部扁平上皮がんと、それに対応する部位の非悪性炎症組織における免疫浸潤を調べた。我々の解析の結果、腫瘍と炎症組織の免疫細胞には組成や表現型に大きな重なりがあることが分かった。また計算解析から、腫瘍に濃縮される免疫細胞相互作用が特定された。そうした相互作用の1つから制御性T(Treg)細胞の大きな集団が生じ、この細胞集団は腫瘍に非常に濃縮されていて、血液および組織の全ての造血系細胞の中から、ICOSとIL-1受容体1型(IL1R1)の共発現によって独自に特定される。我々は、これらの腫瘍内IL1R1+ Treg細胞が最近抗原に応答したという証拠を示し、また、それらがIL1R1 Treg細胞よりも優れた抑制機能を持ち、クローン増殖していることを実証する。我々の研究は、炎症組織と腫瘍の間の広範な免疫学的一致や、疾患に直接関係する腫瘍特異的変化を特定したのに加えて、一般的な炎症関連パターンから疾患特異的な変化を抜き出すための青写真にもなる。

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