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神経科学:トランスクリプトームのマッピングからプルキンエニューロンの可塑性が学習を促すことが明らかになった

Nature 605, 7911 doi: 10.1038/s41586-022-04711-3

細胞の多様化は、学習や記憶など、脳の特殊化した機能に不可欠である。単一細胞RNA塩基配列解読によって、異なる主要なタイプのニューロンのトランスクリプトームプロファイリングが進んでいるが、ニューロン集団内のトランスクリプトームプロファイルの相違やそれらの機能との関係はほとんど分かっていない。今回我々は、タグ付けされた特定の細胞タイプの核を単離し、続いて単一核RNA塩基配列解読を行って、プルキンエニューロンをプロファイリングし、運動活動や運動学習に対するそれらの応答をマッピングした。その結果、遺伝子AldocおよびPlcb4の発現によって特定されるプルキンエニューロンの2つの主要な亜集団が、異なるトランスクリプトームの特徴を持つことが分かった。Plcb4+プルキンエニューロンは、感覚運動や学習を経験したマウスで遺伝子発現のロバストな可塑性を示すが、この可塑性はAldoc+プルキンエニューロンでは見られない。in vivoカルシウム画像化や光遺伝学的摂動からは、Plcb4+プルキンエニューロンは連合学習で重要な役割を担っていることが明らかになった。単一核RNA塩基配列解読データセットをWGCNA(weighted gene co-expression network analysis)と統合することで、FGFR2シグナル伝達の構成要素など、Plcb4+プルキンエニューロンの学習遺伝子モジュールが明らかになった。マウスで、CRISPRを用いてPlcb4+プルキンエニューロンのFgfr2をノックアウトすると、運動学習が阻害された。我々の知見は、プルキンエニューロンの多様化が運動学習における応答に結び付く仕組みを明らかにしており、神経障害に対するプルキンエ細胞の脆弱性の違いを理解するための基盤となる。

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