Perspective

コロナウイルス:SARS-CoV-2変異株の免疫防御に対するリスクを定量化する

Nature 605, 7911 doi: 10.1038/s41586-022-04690-5

多くの重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)変異株が世界各地で出現し、感染あるいはワクチン接種後に誘導される防御性抗ウイルス免疫が脅かされている。SARS-CoV-2のゲノム多様性が増大することによって引き起こされる公衆衛生上の脅威に対応するために、米国NIH国立アレルギー・感染症研究所は、SAVE(SARS-CoV-2 Assessment of Viral Evolution)プログラムを設立した。この取り組みは、伝播、毒力、感染やワクチンで誘導された免疫に対する抵抗性に影響を及ぼす可能性のあるSARS-CoV-2変異株のリスクをリアルタイムで評価するために設計された。SAVEプログラムは、米国政府のSARS-CoV-2省庁間グループ(SIG)が、SARS-CoV-2変異株の診断、ワクチン、治療への影響を評価し、公衆衛生のリスク情報を交換するための、極めて重要なデータ生成要素である。今回我々は、動物モデルを用いて、新興変異体やそれらが免疫に与える影響、およびワクチン保護に対する効果についてのデータを見いだしたり、キュレートしたりするために用いられる協調的アプローチについて説明する。我々はまた、この協働的な方法による、試薬や方法論、モデルの開発と重要な研究成果の発展について報告し、将来的な課題を明らかにする。SAVEプログラムは、ヒト集団でウイルス進化を監視し、対策の有効性を低下させる可能性のある変異株を見つけ出すことで、パンデミック(世界的大流行)を引き起こす可能性のある急速に進化する病原体に対応するための鋳型となる。

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