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遺伝学:生きた胚で離れた位置にある調節遺伝子の間での転写の共役
Nature 605, 7911 doi: 10.1038/s41586-022-04680-7
後生動物の遺伝子調節では、個々の遺伝子がそれぞれ専用の転写エンハンサー群を持ち、それによって個別に調節されているとする見方が有力である。これまでの研究で、遺伝子間の長い距離を介した連携が報告されているが、それらの転写調節における機能的重要性はいまだに不明である。今回我々は、単一細胞定量的ライブイメージング技術を使って、ショウジョウバエ(Drosophila)の生きている胚で、ゲノム上の長い距離で隔てられた遺伝子が相互に依存した転写動態を示すことを明らかにする。離れた位置にあるパラロガスな遺伝子間に、共通のエンハンサーによる共調節や25万塩基近くの距離を超えての同時転写開始など、物理的・機能的に広範囲にわたる関連があることが分かった。調節の相互接続性はプロモーター近傍のテザリングエレメントに依存しており、このようなエレメントを摂動すると離れた遺伝子の転写が共役しなくなり、転写バーストの動態が変化することから、同時転写の拠点(ハブ)の形成と安定性にゲノムのトポロジーが役割を担っていることが示唆される。転写の共役はショウジョウバエゲノム全体で見られ、保存された幅広い多様な発生過程が含まれており、これは遺伝子活性の長距離にわたる統合が一般的な戦略であることを示唆している。

