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惑星科学:火星の音風景のin situ録音
Nature 605, 7911 doi: 10.1038/s41586-022-04679-0
火星探査車パーサビアランスが着陸するまで、火星の音響環境は分かっていなかった。モデルからは、(1)分子粘性が運動エネルギーを熱に変換する所で、大気の乱流がセンチメートル以下のスケールで変化すること、(2)表面では音速が振動数とともに変化すること、(3)CO2中では高振動数の波が距離とともに強く減衰することが予測されている。しかし、低圧での実験データが欠如しており、閉鎖環境における乱流や減衰の特性評価が難しいため、理論モデルは不確かであった。本論文では、パーサビアランスのマイクロフォンによる録音データを用いて、火星の音響環境と、可聴域とそれを超える20 Hz〜50 kHzにおける圧力ゆらぎの初めての特性評価の結果について報告する。録音された大気中の音が、圧力変動の測定結果を従来の観測の1000分の1のスケールまで拡張することが見いだされ、これによって、エネルギーで5桁を超えて広がる散逸領域が示された。我々は、点音源(インジェニュイティーの回転翼、レーザーで誘起された火花)を用いて、240 Hzの上下で約10 m s−1離れた明確に異なる2つの音速の値を明らかにする。これは、CO2が支配的な低圧大気に特有の性質である。また、2 kHz以上で距離に伴う音響減衰も得られ、これにより、可聴域におけるCO2の振動緩和の大きな寄与の説明が可能になった。今回の結果は、火星大気や金星大気などの研究に極めて重要な、音響過程のモデル化のための真値(ground truth)が確立される。

