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ウイルス学:ファージの抗CBASSおよび抗Pycsarのヌクレアーゼは細菌免疫を破壊する

Nature 605, 7910 doi: 10.1038/s41586-022-04716-y

CBASS(cyclic oligonucleotide-based antiphage signalling system)とPycsar(pyrimidine cyclase system for antiphage resistance)は、さまざまな細菌に見られる抗ファージ防御系で、サイクリックヌクレオチドシグナルを用いて細胞死を誘導し、ウイルスの増殖を防いでいる。ファージは複数の戦略を用いて、宿主のCRISPRや制限修飾系を無効化するが、CBASSやPycsarによる免疫を回避する機構は知られていない。今回我々は、ファージが抗CBASS(Acb)タンパク質や抗Pycsar(Apyc)タンパク質をコードしており、こうしたタンパク質が、宿主免疫を活性化するサイクリックヌクレオチドシグナルを特異的に分解して、防御を打ち消していることを示す。我々は、大腸菌(Escherichia coli)と枯草菌(Bacillus subtilis)において57のファージの生化学的スクリーニングを行い、ファージT4由来のAcb1とファージSBSphiJ由来のApyc1が、それぞれ異なる新たな免疫回避タンパク質ファミリーであることを見いだした。3′3′-サイクリックGMP–AMPと複合体を形成したAcb1の結晶構造から、アデノシン塩基の3′位の金属非依存性加水分解の機構が明らかになった。この機構は、サイクリックジヌクレオチドおよびサイクリックトリヌクレオチドによるCBASSシグナルの幅広い認識と分解を可能にする。一方、Apyc1の構造からは、金属依存性サイクリックNMPホスホジエステラーゼが、低い特異性により、Pycsarのサイクリックピリミジンモノヌクレオチドシグナルを標的とすることが明らかになった。Acb1とApyc1は、CBASSやPycsarの下流のエフェクターの活性化を阻止することで、in vivoでのCBASSやPycsarによる防御を回避する。Acb1とApyc1の活性を持つ酵素は、系統発生学的にさまざまなファージで保存されており、宿主のサイクリックヌクレオチドシグナルの切断がファージ生物学における免疫回避の重要な戦略であることが示された。

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